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バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

バックパッカーの旅Ⅰ(東京~アテネ)

哲学の講義・その一

             ≪九月三日≫        ―壱―



  同じ時期からだろうか?


 このP、K、Houseに宿泊している日本人に逢った。


 名前は言わない。


 高校から大学と、教師をしていたと言う。



    名無「大学では、ずっと哲学を教えていたけど、あの頃の

          学生に失望してしまってね。学校という枠の中にも入

          りきれず、教師を辞めて、それからずっと田舎にこも

          って百姓をやってたよ。」



  そして、今はここに落ち着いているらしい。



  彼の話は全くユニークで面白く、昔を思い出したのか、彼の好

きな、民族・歴史学の講義が始まり、俺はチェンマイにまで来て哲学の講義

を聴くはめになってしまった。


 しかしそれは、大学の四年間のつまらない講義のどの時間よりも、退

屈しない、あくびの出ない講義だったような気がする。



    名無「人類の起源は、アフリカと中国の二箇所から、ほぼ

           同時に生まれたといわれているんだ。今、白人と呼

           ばれている西洋人。あれはもともと、アフリカから

           北上してきたものなんだ。」

  
    俺 「えっ、何で?」

  
    名無「それを証明するものに、黒人達の神話の中に、こう

           いう言い伝えがあるんだ。ある黒人の一部での出来

           事なんだけど・・・、一部に悪い伝染病にかかった

           者がいたんだな。今でいえば一種の肝臓病の様なも

           のなんだけど、これにかかった者の中で特にひどい

           者がいて、肌がだんだん白くなったり、髪の毛が金

           色に輝いてきたりしたんだな。」



    俺 「へ~~!」

  
    名無「この者たちは、部族の人たちにとっては、突然変異

           という事で気味悪がって、部落から逃げ出すよう

           に、北へ北へと向かった訳だ。」

  
    俺 「なるほど」

  
    名無「そして、北の厳しい自然の中で少数民族が生き延び

          る為には、いろんな知恵を必要にしたんだ。つまり弱

          い者が、文明を作り出してきたと言っていいだろう

          ね。それが今のヨーロッパ人種たちの祖先という事に

          なるんだな。」



  感心して聞いていると、話はドンドン先に進んでいった。



    名無「それを証拠に、白人を見てみたまえ!白人の肌を触

           った事があるかい?」

  
    俺 「いや?」

  
    名無「ないのか・・・・・。ザラザラしていて、中には黒

          い斑点がいっぱいある白人を見たことがあるだろ!あ

          れが昔の黒人の名残りなんだなあ。他にも、いろんな

          点から、アフリカ人種と白人は、同一種と見なされて

          いるんだ。」

  
    俺 「あっ、そうなの?」



    名無「次に、日本人の祖先だけど、もともとが中国の西の

          方で、中国西域とも古代トルコ系人種とも言われてい

          るんだ。今のトルコ人は、古代トルコ人の中でも、弱

          い民族が西へ逃げて行って出来た民族で、アラブ系と

          血が混じっているのが多く、アラブの血を受け継いだ

          お陰で、バカになったんだな。」

  
    俺 「えっ、バカに?」

  
    名無「本来の古代トルコ系民族は、今のアフガニスタンの

          北方に位置していて、そこから東方に移動し、中国西

          域~モンゴルを経て、満州・朝鮮そして日本へ入って

          きたと言われているんだ。」



    俺 「・・・・・。」

  
    名無「この説は、ほとんど間違いがないと言って良いよ!

          その証拠に、昔の日本の風習とか、言葉とか、いろん

          な面で古代トルコとよく似た物が多いんだ。日本の相

          撲も良い例だけどね。」

  
    俺 「そうなんだ。」

  
    名無「今の天皇ね、あれは朝鮮人を祖先に持つ人達なん

          だ。今でこそ、日本人は単一民族・単一国家だって言

          ってるけど、ほとんどの学者はこんな事誰も信じちゃ

          いないんだ。一つの国をまとめる為、やむなく権力者

          達が利用したに過ぎないんだなこれが。」

  
    俺 「・・・・・・・。」

  
    名無「本来、日本にはアイヌや沖縄と同じ人種が暮らして

           いたんだ。そこへ朝鮮から渡ってきた人たちが、割

           り込んできたため、北へ行ったのがアイヌ、南へ行

           ったのが沖縄の人たちという訳だ。」

  
    俺 「・・・・・。」

  
    名無「今の日本の象徴は朝鮮人を子孫に持つ人だという事

           だ。日本と言う国を作り上げる時に、朝鮮人という

           事をずっと隠してここまで来た訳。こんな事は、今

           の五稜郭を発掘すればすぐにわかること。だけど不

           思議な事に、そこだけはいまだに閉ざされたままな

           んだ。お墓という事で、発掘を拒んできたんだな。

           皆、怖いんだよ。単一民族だと言われ続けてきた、

           我々自身が朝鮮の血を受け継いでいるなんて、承服

           しがたい事だからな。」

  
    俺 「な~る程!」



                 *

  
    名無「一つ面白い例をあげてみようか?」

  
    俺 「・・・・・・。」

  
    名無「たとえば今の相撲、これは日本の国技だな!これは

          まさに古代トルコの格闘技とそっくりなんだ。なんで

          あんなに異常に太っているかと言うと、日本の米のせ

          いなんだ・・・・けど、それは別にして言葉だよ

          ね。」

  
    俺 「言葉?」

  
    名無「行司がウチワみたいな物を持って、”ハッケヨイ、

          ノコッタ!”と言っているだろ。あれが朝鮮語の中に

          あるんだ。どういう意味かと言うとだな、”双方頑張

          れ!”と言う意味なんだ。」



    俺 「へ~~!そうなんだ。」

  
    名無「お祭りで、””ワッショイ!ワッショイ!という言

          葉があるだろ、あれはどういう意味か知ってるか

          い?」

  
    俺 「いや?何か掛け声じゃあないの!」

  
    名無「単なる擬音という事かね?あの”ワッショイ!”

          は、朝鮮の言葉で”神様がきた!”と言う意味がある

          んだ。どうだい、面白いだろ!」

  
    俺 「本当なの?」

  
    名無「他にも、日本が異民族の集合体だった、と言う根拠

          はいくらでもあるんだ。ただ、古来から日本人には、

          選民意識と言うものがあってな・・・・。」

  
    俺「選民意識って・・・なんです?」

  
    名無「字の通り、他のどの民族よりも、選ばれた民族でな

           ければいけないという誇りだな。」

  
    俺 「・・・・・。」

  
    名無「だから、うすうす分かってはいるけど、まずいもの

          には蓋をし続けてきたわけだよ。」



   話は何処までも続く。



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